カナダ薬局 美容と健康

Vol.1 カナダで薬剤師になるためにすべきこと

私は日本で薬剤師資格を取得しましたが、調剤経験のない、いわゆる\ペーパー薬剤師/です。そんな私がカナダで薬剤師を目指す中でのあれこれを、当ブログでシェアしていきたいと思います。

日本で薬剤師の資格を持っている(または、目指している)けど、海外でも薬剤師として働いてみたいと思う方いるのではないでしょうか?規約など条件は年々変わっていますが、興味のある方・同じ目標を持つ方の参考になればと思い、書いています。

カナダでは日本の薬剤師免許は使えるの?

いいえ、使えません。これができたら一番理想的ですが、残念ながら、日本で薬剤師だからすぐにカナダで薬剤師になれる!というわけにはいきません。

でも、良い面としてはもう一度大学に何年も通う必要はありません。
外国人薬剤師(カナダ国外の薬学部を卒業し、薬剤師免許を取得している人)がカナダで薬剤師になるためには、いくつもの手続きを経て、試験に合格することで免許の書き換えが可能です。いわゆる、免許の書き換えです。私は今この工程の真っ最中です。

International Pharmacy Graduates = IPGs■

外国人薬剤師のことをカナダではIPGsと呼んだりもします。*この記事でも何度も出てくるので、覚えていてくださいね!

 

どんな手続・試験が必要?

いくつかのステップを経る必要があり、カナダは州によって法律・条約・きまりが異なります。薬剤師になるステップも例外ではなく、州によってかかるお金・時間が異なります。
Pharmacists' Gateway Canada

まずいちばん最初のステップは、Pharmacists' Gateway Canada (Gateway)に登録($375; 2023.1時点)することです。

このGatewayは、カナダの薬剤師免許登録を管轄しているNational Association of Pharmacy Regulatory Authorities (NAPRA) が2014年にIPGsのために始めたプログラムです。

Gatewayはカナダの薬剤師ライセンス情報、自己評価ツール、およびIPG向けの一元化されたドキュメント リポジトリを提供しています。Gatewayは、カナダで薬剤師免許を取得したい IPGに、免許プロセスを説明するのに役立ちます。

NAPRAの登録番号■

Gatewayに登録することで、NAPRAの登録番号が与えられます。この後の手続ではこの番号がないと進めません。

 

Document Evaluation

Gatewayに登録すると、次に行うのがDocument Evaluation(DE)という書類審査です。この書類審査には$695(2023.1時点)かかります。

ここでは
・本人確認のための戸籍謄本とその英訳文の
・母校からの成績証明書・卒業証明書とその英訳文
・厚生労働省からの英文での薬剤師登録証明書

などの提出が必要です。ここのステップはかなり厳しく、ある一定の資格を取得した翻訳者しか認められないなど縛りがありかなり面倒です。

Document Evaluationで審査されること■

このDEの審査で、日本で取得した薬学部の学士号が、カナダで薬剤師として働くための基本的な教育要件である 4 年間の薬学士号と同等であるかどうかが判断されます。

 

Evaluation Exam

DEを通過した後に1番最初に受けるべき難関試験がEE(Evaluation Exam)です。この試験には$890(2023.1時点)かかります。

このEEは受験回数に制限があり、3回までと決まっています。なかなか厳しいですよね。

Evaluation Examで審査されること■

方法はコンピューターで、選択式問題です。多くの問題は5つの中から正しいものを1つ選ぶ方式です。
内容は、基礎問題(物化・生物・有機化学)+薬学系基礎問題+臨床問題という感じです。この試験に関するさらに詳しい内容・対策方法はこちらの記事で説明しています。

 

English Language Proficiency Requirement

カナダで薬剤師として働く上で必要な英語能力試験でNAPRAで規定されている必要なスコアを取得する必要があります。次の試験のうち1つを受ける必要があります。私はIELTsの試験結果をNAPRAに提出しました。必要なスコアはこちら

NAPRAに提出する英語能力試験で認められるもの■

1.Test of English as a Foreign Language: TOEFL (iBT,PBT,CBT)
2.Michigan English Language Assessment Battery : MELAB
3.International English Language Testing System : IELTs(Academic)
4.The Canadian Test of English for Scholars and Trainees : CanTEST

 

Bridging Program*

このBridging Programは、州によってプログラム必須の有無が変わってきます

現在(2023.1時点)必須となっているのはブリティッシュ・コロンビア(BC)州、アルバータ(AB)州、オンタリオ(ON)州の3つです。その他の州では規定が違います。準州では資格取得できるプログラムがないので、他の州で資格取得後に準州に移る必要があります。

 

PEBC Qualifying Examination

これはカナダ薬剤師の国家試験です。筆記試験のPart1:MCQと、実技試験のPart 2: OSCEの2つの試験に分かれています。EEに合格した時点で、これらの国家試験を受ける資格が得られます。

それぞれ別々に受けることが可能です。MCQ$835OSCE$1,875(それぞれ2023.1時点)かかります。これらもEEと同様、それぞれ基本的には受験回数は3回までです。(例外的に4回目を受けられる場合もあるそうですが、どんなケースが当てはまるのかは不明...)時期は年に2回あります。

PEBCで審査されること■

MCQでは主に薬物治療、法律・倫理など多岐にわたる臨床関連問題が200問出題されます。OSCEではいくつかのステーションに分かれており、カウンセリングや薬物治療に関する問題解決能力を口頭試験で審査されます。

 

Structured Practical Training (SPT)*

いわゆる実務実習です。Structured Practical Training(SPT)でのトレーニング中はPharmacy Intern(インターン)として薬局で薬剤師指導のもとでトレーニングを行います。

私が住むAB州は1000時間(週40時間働くとして約6ヶ月)のSPTが必須です。こちらも各州によって必要な時間などプログラムが違います。おそらくAB州は一番長いのではないかと思います。

SPTで得られること■

カナダでは一人薬剤師の薬局も少なくありません。薬剤師として一人前として働く前に、薬剤師の指導の元でトレーニングを積みます。

 

Application to College of Pharmacy*

それぞれの州の薬剤師会へ薬剤師として仮登録をします。


・AB州ではPEBC(MCQ)に合格していなければ仮登録をすることができません。インターンとしてトレーニングを受けるには、この仮登録が必須になります。
・BC州では、インターンとしてのトレーニングはBridging Programに含まれており、PEBC(MCQ)に合格していなくても登録は可能なようです。

 

Jurisprudence Examination*

それぞれの州の薬剤師会による州法の試験です。

 

Licensure / Registration*

無事にすべてを終えると、州の薬剤師会に薬剤師として本登録し、薬剤師免許取得となります。

 

カナダで薬剤師になるのは大変?

はい。正直、大変です。

なぜならば、時間もお金もかかるからです。
日本で日本語で薬学を学んできた私にとってはすべてを英語で学び直さなければいけないことは非常に大変です。特に最初のEEの試験を受ける際に、特に基礎強化のの部分は範囲も広く挫折しそうになりました。

しかし、カナダでの薬剤師の社会的地位は高い上、信頼される職業で、やりがいもあると思います。お給料も日本のと比べても高いので、晴れて薬剤師になれたら安定した職業であることは間違いないのではと思います。

試験もかなり難しく、PEBCはネイティブでも一発合格といかない場合もあると聞きます。ある程度お金、心や生活に余裕を持ちながら勧めていくことができるマインドを育てることも大切です。私がコーチングを学び、資格までとったのはそんな理由もあります。

自分が将来的に働きたいと思う州での詳しい情報はこちらでチェックしてください。上記の中でタイトルの右上に" * "があるものは州によって条件等が異なるものです。州によっては、上記で示した順番が異なる場合もありますので、詳しくはご自分でお調べください!

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