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Vol.2 カナダ薬剤師になるために必要な時間と費用

この記事では、私がカナダの薬剤師免許を取得するまでにかかったお金と時間を紹介します。現在進行中なので、取得できるまで随時更新当形になるかと思います。

時間について

時間についても州によって異なりますが、最短で15.5ヶ月-26.5ヶ月です。

ただ、これらの公式に示されている時間です。例えば、カナダと同じ英語圏であるオーストラリアの薬剤師であっても同じ道をたどるのです。そう考えると、私達のような薬学教育を英語で受けていない者にとっては最短で免許取得は言葉の壁のハードルもあります

また、費用もかかるのでこれらの期間仕事をせずに勉強のみを行うというのも現実的に難しいと思います。また、一度別の国で免許を取得しているのであれば大体は20代後半-40代が多いのではと思います。そう考えると、プライベートでの時間も必要になるのでさらに時間をとるのは難しいです。

最短で取ろう!と意気込むのも良いですし、それで行けるのであれば最高だと思います。しかし、現実的なプランとのバランスもとても大切です。私は時間がかかっても、プライベートもキャリアも着実に進めていきたいと思って今の道を歩んでいます。時間はかかっているかもしれませんが、後悔はゼロです!

■私の場合■ 2019年〜現在

Gatewayへの登録:2019年5月
DE審査開始:2016年6月
DE審査完了:2019年9月(途中不備などで追加書類の提出などがあったため)
その後、日本で仕事を続けて2020年10月にカナダに渡航。
1度目EE受験:2021年5月(不合格)
2度目EE受験:2022年5月(合格)

Bridging Program 受講:2023年9月(予定)

 

費用について

現実的なことを考えると、免許取得の上で必要なお金は手続きのお金だけではありません。

今回は、①試験 ②生活 ③VISA手続きの3つに分けていきたいと思います。

 

①試験にかかる費用

詳しいステップについてはこちらの記事にてお話しています。ここでは、費用の部分を抜粋していきます。
それぞれの州での詳しい費用を知りたい場合はこちらを見てくださいね。

全州で共通の費用     $5,010

Pharmacist Gateway Canada 登録料:$375
Document Evaluation 審査料:$695
PEBC - Evaluation Exam 受験料:$890
PEBC - MCQ 受験料:$835
PEBC - OSCE 受験料:$1,875
IELTs - Academic受験料:$340


州によって異なる費用    $15,349

Bridging Program* 受講料:$13,600(AB州)
Structured Practical Training*:$0(AB州)
Application to College of Pharmacy*薬剤師会登録料:$630(AB州)
Jurisprudence Examination* 法律試験受験料:$175(AB州)
Licensure/Registration* 登録料:$944/年(AB州)

ただ、これらの費用がすべて一度に必要というわけではありません。日本人の方では、試験の合間に日本に帰国して一定金額貯金をしてから再びカナダに戻ってくるという人もいます。VISAの関係でカナダでは働けないということも出てくる可能性もあるので、それもありですよね。

奨学金制度などもありますし、運が良ければ一部を雇用してくれる薬局で負担してくれるという場合もあるそうです。

 

+アルファ費用

さて、上記で示したのは、あくまで公式に公開されている費用にすぎません。実際には、日本国内での準備で多くの費用がかかっています。今考えると無駄になってしまったものもたくさんあるようにも感じますが、全ては勉強量だったと思っています。

各項目でかかった+アルファ費用についてお話します。


Document Evaluation 審査料

■DE+アルファでかかった費用■

  • 卒業証明書の翻訳と戸籍謄本の翻訳:¥12,880
  • 3つの書類の公証役場での承認:¥34,500

合計:¥47380

内訳についてお話しますね。

ちなみに、私が審査を受けた2019年はDEの審査料は$665でした。
このDE審査は、提出する書類を準備するのにお金がかかります。それぞれの証明書は日本国内で発行されている日本語のものはすべて翻訳者の翻訳が必要です。

  • 卒業証明書の翻訳と戸籍謄本の翻訳:¥12,880

しかし、すべての書類で公証人の承認が必要だということで1度目は書類が受理されませんでした。そこで、戸籍抄本の翻訳はとりやめ、個人を証明するためにパスポート認証を受けました。また、学位記・博士号の翻訳は私署文書として扱ってもらい、公証役場にて承認を受けました。

  • 3つの書類の公証役場での承認:¥34,500

厚生労働省への[薬剤師免許 登録済証明及び行政処分の有無の英文証明書発行]をPEBCへ直接郵送してもらう必要がありました。これには特にお金は必要ありませんでした。返信用封筒への切手代くらいでした。

DEの審査の際に必要なのは薬学の学士号のみで、PEBCが証明してくれるのも学士号のみです。

私は、個人での永住権申請(Express Entry)に必要なECA reportも同時申請していたので、博士号の卒業証明等まで送ったのですが、結局はPEBCでは証明してもらえず、無駄になりました。修士号・博士号や他の学士号を取得している方の方は気をつけてください。


PEBC - Evaluation Exam 受験料

■EE+アルファでかかった費用■

氏名変更手続き費用:CAN$203.66
EE受験費用:$890×2 = $1,780

合計:$19,83.66

私は、DEの審査を受けてからEEを受験するまでの間に国際結婚をして姓を変更しました。

DEで登録していた名前と、EEを受験するときの名前が違う!ということが発生しました。そのために、法的に同じ人間であることを証明してもらうために、[A Change of Name Certificate]というとても面倒な手続きをする必要がありました。

原本が必要だったので、日本の両親に戸籍謄本を取得してもらい、それを速達で送ってもらう必要もありました。

私が利用したカナダの翻訳会社はトロントに拠点を置く、KAN COMMUNICATIONs Inc.さんです。日本語で正確に迅速に対応してくださり、安心して任せることができたので、翻訳証明を探しているかたはおすすめします。KAN Communications Inc.

さて、私はEEの試験を2回目で合格しています。

が、実は受験料は3回分払っています。なので、+アルファでかかった受験料が×2になっています。この理由については、お話するかどうかを迷ったのですが話すことにしました。

実は1度目を受けてから半年後に再受験する予定だったのですが、精神的にかなり追い詰められてしまい、受験日数週間前にキャンセルしました。EE受験の記録としては2回ということになっています。なので、もし2回目受験で不合格だった場合はもう1度受けられるチャンスがあったということになります。
3度しか受けられないという制限が精神的にも追い詰められる原因にもなりました。また、この時期は永住権申請の精神的負担もあり、いろいろなことが重なっていました。

どんな試験もそうですが、心も体も体調万全の状態で、自分が納得して挑戦できる時に受験できるようにするのが一番です!


今後、先に進んでいく上でかかった費用についても随時更新していきますね!

 

②生活費

カナダで生活するとなると、日本とは衣食住がすべて変わってくるので想像するのが難しいですよね。

私はAB州に住んでいるので、あくまでAB州の話になりますが参考にしてください。

住むところ

①シェアハウス:$500-$900くらい(+電気・ガス・水道代、インターネット代シェア
②ホームステイ:$800くらい食費込
③一人暮らし:$1400-$2000くらい(+電気・ガス・水道代、インターネット代)


食べるもの

①自炊:$200-300/月
②外食:昼$10-25/日、夜$20-50/日


その他

交通定期:$100/月
携帯:$30-60/月(私はTelusのPrepaidプランの$45でCall&Text+Data 4GBに入っています)

 

③VISA手続き

VISAよく問題になってくるものの一つです。

カナダで薬剤師になるためにはインターンを行う時点で働けるVISAが必要になってくる場合があります。州や薬局によってはPharmacy Internとして雇ってくれる場合があるためです。学生VISAでもOKの場合もありますし、その場合は学生VISAでInternまでできるようです。(BC州はそうだったと思います。)

■考えられるVISAの種類■

-学生VISA(Study Permit)
-就労VISA(Work Permit)
-永住権(PR)

PRがあれば問題なく働けますし、いろいろな心配がなくなります。私は当初から永住権取得を目指していました。
もし年齢的に可能であれば、ワーホリビザを使用するというのもありです!

ただ、いきなり、カナダで薬剤師になりたいからカナダに行く!という人はあまり見たことがありません。一度ワーホリなどを使ってカナダに住んでみて、ここだったらずっと住んでみたいかもと思い、数年後に戻ってきつつ薬剤師免許の取得を目指すというパターンが多いです。

そのパターンの場合は、もうワーホリが使えないので、永住権取得を目指すしかないのです。または、運良くスポンサーをしてくれる薬局が見つかれば、就労VISAも可能です。

 

最後に

今回は、必要な時間と費用についてお話しました。

薬剤師だけではなく、様々な資格を海外で書き換えるというのはとても時間とお金のかかるものです。

私も当初は2022年には薬剤師として働けているだろうと思っていました。が、現在まだ中間地点にも行っていないかもしれません。やはり、さまざまなライフイベントが重なる中で、VISA問題、言語問題を乗り越えて行くのは、精神的にも肉体的にもチャレンジングです。モチベーションが下がる時期もあります。それをどのようにマネージするかで、資格取得までを楽しく過ごすか、苦しく過ごすかが違います。

せっかくの一度きりの人生、楽しみながら挑戦するのが一番だと思います!

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