私は日本で薬剤師の資格を持っていますが、現場で働いたことのないいわゆる＼ペーパー薬剤師／です。現在は、カナダの薬剤師になることを目指しながら薬局で薬局アシスタントとして働いています。
カナダと日本の薬局は働いているスタッフが異なり、それぞれ存在しない職種もあります。今回は、カナダの薬局で働くスタッフについて紹介します。
どんな職種があるの？
Pharmacist 薬剤師
当たり前ですが、薬剤師がいないと調剤薬局として成り立ちませんので、薬剤師の存在は必須です。
仕事内容としては、調剤・処方箋監査・服薬/投薬指導・予防接種・薬の受注と発注・口頭での処方箋の受付・処方権*などです。
薬剤師は日本と同じで国家資格で、筆記試験であるMCQと、実技試験であるOSCEの２つの国家試験に試験に合格しなければ薬剤師として働くことはできません。詳しくはこちら
カナダの薬剤師の平均時給は$48です。
Pharmacy Technician テクニシャン
テクニシャンは、薬剤師の指示のもとで主に調剤や監査を行います。処方箋を受け取り、処方内容を入力した後にその医薬品を調剤することも大切な仕事です。
州によっては、一部の医療機器の説明を患者さんへ行うこと、投薬などを任される場合もあります。
テクニシャンを導入することで、薬剤師がより患者さんへの服薬/投薬指導や患者ケアを重点的に行うことができることが期待されています。
テクニシャンも国家資格が必要です。テクニシャンのためのコースを卒業し、筆記試験であるMCQと、実技試験であるOSPEに２つの国家試験に合格する必要があります。詳しくはこちら
カナダのテクニシャンの平均時給は$19.50です。
Pharmacy Assistant アシスタント
アシスタントは薬剤師やテクニシャンの業務を補助します。常に薬剤師やテクニシャンの指示のもとで働くとされています。
調剤業務や処方箋内容の入力が主な仕事です。患者さんへの指導や監査業務は行うことができません。
アシスタントは国家資格は必要ありませんが、薬局アシスタントコースは存在します。全く薬局業務を知らない場合は、このコースを受けた後にアシスタントとして働く方もいます。
カナダのアシスタントの平均時給は$18.96です。
*前述のテクニシャンのポジションは近年できた新しいポジションで、テクニシャンをおかずにアシスタントのみという薬局も現在多く存在します。
Pharmacy Student 薬学生
薬学生は、薬剤師の指導のもとで多くの薬剤師業務の遂行が可能です。
薬剤師業務である調剤・処方箋監査・服薬/投薬指導・予防接種・薬の受注と発注・口頭での処方箋の受付・処方権*などが一通りできるように指導を受けます。
これはVol.3で紹介した11大学出身の薬学生が対象です。外国人薬剤師は次のPharmacy Internというポジションになります。
この薬学生としてのポジションでは、学校のプログラムの一環としてのものと、アルバイトとしての２種類があるかと思います。プログラムの一環での場合は、お給料は発生しません。
カナダの薬学生の平均時給は$17.21です。
Pharmacy Intern インターン
インターンも、学生と同様、薬剤師の指導のもとで多くの薬剤師業務の遂行が可能です。
薬剤師業務である調剤・処方箋監査・服薬/投薬指導・予防接種・薬の受注と発注・口頭での処方箋の受付・処方権*などが一通りできるように指導を受けます。
インターン期間は、州によって異なります。詳しくはこちらも。
カナダの薬学インターンの平均時給は$18.00です。
＊薬局によっては、無給という場合もあります。これは、オーナーや会社の方針によって大きく変わるようです。
Pharmacy Volunteer ボランティア
ボランティアは薬剤師の指導のもとで、薬剤師に頼まれたことを行います。
ボランティアの主な目的としては、カナダの薬局社会を体験・経験すること、社会とのつながりを作ること、文化を知るなどがあります。
カナダの薬学ボランティアの平均時給は$0です。
カナダで薬局にはどんな種類がある？
日本と同じように、カナダの薬局も大手調剤薬局・大手ドラッグストア・チェーン店・フランチャイズ店・独立型薬局など多くのパターンがあります。
カナダで薬局を開くには基本的に薬剤師である必要があります。
日本では、オーナーは薬剤師資格を持っていないという場合も多いですが、カナダでは複数役員がいる場合にオーナーの一人が薬剤師の資格を持っている必要があるそうです。
知り合いの独立型薬局では、３人の薬剤師がオーナーとなり経営を進めている薬局があります。薬剤師同士の連携も取れていて全員がオーナーとしての自覚をもって仕事を進めているのがすごく楽しそうです。
カナダの薬剤師は何人？
2022年1月の調べではカナダの薬剤師は47,106名です。一方、日本の薬剤師は2020年調べでは321,982名です。
と言われても、多いのか少ないのか分かりませんよね。
グローバル・ノートさんの2020年までの[世界の薬剤師数 国別ランキング]では、日本はアメリカに次ぐ第２位を誇ります。カナダは第９位と、１０位以内にランクインしています。
最後に
私は、永住権取得前にボランティアとしてカナダ薬局のキャリアをスタートさせました。
私は日本での薬剤師としての実務経験のない＼ペーパー薬剤師／ではありますが、6年制薬学部を卒業しているので実務実習は行っています。なので、病院と薬局の薬剤師のある程度の業務は把握しています。正直、カナダと日本の薬局環境は全く違います。
私はボランティアとして働かせてもらった期間でカナダ文化や内情など、かなり多くのことを学びました。長くなる可能性の高いカナダ薬剤師免許取得の道で、すごく良い経験でした。
