カナダの医療システムは日本とかなり違います。
若く、健康なうちは病院や薬局に行くことなんてなかなかないですよね。でも、何かあった時にどういうシステムなのか知っておくことはとても大切だと思います。
こちらでは、カナダの医療システムについてお話します。万が一の時に少しでも不安が解消できるように、読んでおくことをおすすめします。
カナダの国民皆保険制度
カナダも日本と同様に、医療保障に国民皆保険制度があります。これはカナダに住むもの（州で発行されるHealth Care Number）があるものであれば、誰でも公的な健康保険に加入できる仕組みのことです。カナダではMediCare メディケアと呼ばれる独自の保障システムと呼ばれます。
日本とは負担する医療費の割合や保険の適用範囲などに大きな違いがあります。
日本の場合
・患者が支払う医療費・薬剤費は、全体の3割程度（患者によっては1-2割）
・残りは被保険者や事業主が支払う
・国内であればどの地域の病院を受診しても同じ水準の治療
カナダの場合
・医療費は基本的に無料（妊娠・出産、手術なども補償）
・処方薬は自己負担（処方薬の補償は自己加入保険にて補償）
・州によって受けられるサービスの内容に違いがある可能性がある
＊実は薬局で働いていて一番大変なのは、処方薬の自己加入保険の対応だったりします。値段に関わることなので、患者さんとのトラブルにもなりがちです。
クリニック（Family Doctor）
Family Doctorとはかかりつけ医のことです。Family Doctorは地域に根ざした臨床医のことです。患者のさまざまな不調に対応してくれます。さらに専門的な治療が必要だと判断した場合は、専門医に紹介してくれます。これは、病院であったり、専門クリニックであったりケースバイケースです。
例えば、日本では予約をしなくても皮膚科医、産婦人科医といった専門の医師に診てもらえますが、カナダの場合は基本的にFamily Doctorの紹介がなければ受診ができません。
また、Family Doctorの受診にも予約が必要です。すべてのFamily Doctorが新規の患者さんを受け入れているとは限りません。
■移住や長期留学をしたら、健康なうちからFamily Doctorを決めておくことをおすすめします。
■アルバータ州の場合は、こちらの医師会のサイト（CPSA）からアルバータ州で医師登録している医師を探すことができます。College of Physicians & Surgeons of Alberta | CPSAはアルバータ州の医師会です。
クリニック（Walk-in）
Walk-inは予約なしでも診察をしてくれる医師がいるシステムです。Family Doctorの予約を取れない場合に、Emergencyに行くほどでもないけれど...という場合にWalk-inを訪れる人がほとんどです。
病院（Emergency）
緊急性の高い症状の場合は、Emergencyに行きます。ただ、待ち時間が長いというのが特徴です。症状が重い患者さんが優先されるので、医療従事者の判断によって診察の順番が変わる可能性が高いです。
アルバータ州では、Emergencyの待ち時間がオンラインで確認できるようになっています。こちらから
症状の重さや交通手段によって選択肢が変わります。
検査センター
カナダのクリニックでは様々な検査を外注する場合がほとんどです。つまり、クリニックでは血液検査や尿検査は行いません。
クリニックでの医師の診察の後、医師から血液検査（Blood workやBlood test）や尿検査(Urine test)・X線検査（X-ray）などの検査表が渡されます。それを、Requisitionと言いますが、これがなければ検査センターでの検査が受けられません。以下のようなものが見本です。
これを受け取ったら、検査センターに予約をします。こちらも、Walk-in で検査してもらえる場合がほとんどですが、急がない場合は予約して行ったほうが待ち時間が少なくてすみます。
私のかかりつけ医
カナダでは、かかりつけ医が決まると長いお付き合いとなる場合が多いです。なぜなら、専門医に見てもらう場合でもまずはかかりつけ医の診察が必要だからです。
私は、移住したての時に知り合いの方から、「知り合いのかかりつけ医の若い女医さんが、まだNEWPatient（新規患者）を受け入れているようだよ！」と教えてもらい、病気などありませんでしたが、「I want to get a medical check up」（健康診断を受けたい）といってで予約を入れました。
その数カ月後にはもうNEW patientは受け付けていないということでした。
最後に
医療システムに関することは、何かあった時に調べ始めることが多いもの。具合が悪くなってから、今すぐ病院に行かなければいけないような状況の際に備えて、事前に家の近くのクリニックや病院などについても調べておきましょう。
短期留学や旅行の場合は、加入している海外保険などに連絡することで施設を指定されたりすることでしょう。VISAがある長期留学や移住の場合はMediCareで医療サービスを受けられます。システムを理解して、適切な医療サービスを受けられますように！
